ハチゴロウの鳥撮り日記 第12回「里山の冬の小鳥たち(横浜近郊)/『聞きなし』遊び」
第12回 里山の冬の小鳥たち(横浜近郊)/『聞きなし』遊び
隔月で投稿している『ハチゴロウ鳥撮り日記』は、今回で12回目となりました。2年間もお付き合いいただきありがとうございます。今回は久しぶりに横浜近郊に戻ってまいりました。
2003年から2013年まで、横浜近郊の里山で探鳥していました。なぜか最近は足が遠のいています。約10年間に里山で撮影した鳥たちの記録の一部です。今回は冬(一部秋も)に見られる小鳥たちです。
ハチゴロウ鳥撮り日記の第11回でコマドリをご紹介いたしましたが、駒鳥と呼ばれる由来の「聞きなし」の説明を忘れてしまい「聞きなしって何ですか?」というご質問をいただきましたので、今回は『聞きなし』のいろいろも一緒にご紹介いたしましょう。
イカル
2003年1月に撮影したイカルです。全長23cmほど。通常は群れることの多い鳥ですが、一羽で木の実や種子を食べに来たようです。太くて黄色い嘴が目立ちます。「イカルコキー」という鳴き声から「イカル」と名づけられたとも言われています。この鳥の鳴き声を『お菊二十一』または『月、日、星』と紹介することもあります。
このように鳥の鳴き声を人の言葉に置き換える遊びを『聞きなし』と言います。聞き慣れない『聞きなし』という言葉ですが、皆さんも既にご存知の筈、ウグイスの鳴き声は『法・法華経』、コノハズクは『仏法僧』と書けばなんだか有り難く思えてきますよね。
他にも有名なのは、メジロの『長兵衛、忠兵衛、長中兵衛』やホトトギスの『特許許可局』、ツバメの『土食って、虫食って、渋い~』とか、ホオジロの『一筆啓上、つかまつり候』。
面白いのはセンダイムシクイの『焼酎一杯、ぐぅいーっ!』やヒバリの『利取る利取る、日一分 日一分』。もちろん、人によって聞きようも様々なので、ヒバリの鳴き声が「ヒエ食えヒエ食え、腹なる、腹なる」と聞こえた人もいたようで、さぞかしお腹が空いていたのでしょうね(笑)
さて皆様、ご存知のものがいくつありましたか?
次の写真は、珍しい小鳥ではありませんが、イカルの仲間のシメですイカルと姿形が似ていますが、ちょっと小ぶりで色合いが地味です。『質』って鳴きます。
クロツグミが『おい、おい、手打て、五両で手打て』と鳴き、メボソムシクイが『銭とり銭とり』と鳴いた後にシメが『質』と鳴き、ヒバリが『利取る利取る、日一分、日一分』と鳴けば落語のようですが、自然界ではそうは行きません。現れる季節も場所も違いますからね。
シメ
次にご紹介する写真はウソです。ウソでもホントウの小鳥です。スズメよりちょっと大きいくらい、全長15.5cmほどです。名前の由来は、『フィー、フィー』という鳴き声から、古語で“口笛”を意味する“ウソ”になったとの事です。ウソは珍しい小鳥ではありませんが。
ウソ
鳴き声が名前の由来になった鳥は前回のコマドリがそうです。馬のように『ヒヒーンカラカラ』と鳴くので駒鳥と言われるようになりました。身近な鳥では鳩もそうです。『クー・クー』と鳴くので九に鳥で鳩になったようです。これもウソのような本当の話です。
さて、アカウソならば、珍しいのではないでしょうか。その後、里山でウソには出会いましたが、アカウソとは一度も出会っていません。真っ赤なウソではありません。
アカウソ
アカウソは群れでやってきて、桜や梅の花芽を好んで食べるので、桜や梅の景勝地では嫌われています。場所によっては、天敵のフクロウやタカのデコイ(狩猟などで囮に使う模型)を置いているところもあるようです。
アオジもよく見かけるスズメに似た地味な小鳥ですが、綺麗な個体もいます。お腹が綺麗な黄色です。ゆったりとしたテンポで「チョッ、チョッピー」と鳴きます。可愛らしい鳴き声です。
アオジ
モズです。肉食性で小鳥を襲うこともあります。 全長20cmほど、小さな猛禽と呼ばれています。捕らえた獲物を小枝や有刺鉄線などに串刺しにする習性があり、「モズのはやにえ」と呼ばれています。そのことから、江戸時代ではモズは凶鳥とされ、忌み嫌われていました。また、漢字で『百舌』と書くように、他の鳥の鳴きまねが上手な鳥です。
秋になると『キィー・キイキイキイ』と大きな声で高鳴きしています。縄張りを争っているのだそうです。メスは下面が淡褐色で褐色の波状の横斑があります。
モズのオス
モズのメス
ルリビタキです。全長14.5cm。『聞きなし』だと『キョロ キョロ キョロリ』と鳴くと紹介しています。里山の冬鳥で最も人気があるのではないでしょうか。オスの羽は綺麗な瑠璃色しています。美しい瑠璃色になるのに2~3年かかります。それまではメスに見間違えることも・・・メス同士が交尾しているなんて誤解を受けたこともあったとか?
ルリビタキ
寒くなり、木々が葉を落としてくると、小鳥も見つけやすくなります。
『聞きなし』で鳴き声を覚えておくともっと見つけやすくなりますよ。お気に入りの小鳥を探しに、近くの里山へ出かけてみてはいかがでしょうか。寒い中、鳥が出てくるのをじ~と待つのは忍耐が必要です。くれぐれも風邪などお召しになりませんように。
筆者紹介
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